瓦屋根種類
屋根の役割と選択するときに検討すること
直接間近で見ることはほとんどない屋根ですが、形状、葺き材の色や素材感は建物の雰囲気に大きな影響を与えます。特に和風・洋風のイメージは屋根によるところが大でしょう。
屋根は雨の侵入を防いでいます。万が一近隣で火災が起きた場合は、飛び火が燃え移らないようにす火災からも建物を守ります。
屋根は、目が届きにくく作業もしにくい場所にありますので、外観・イメージも重要ですが耐久性やメンテナンス性にも注目して屋根材を選択する必要があります。
粘土瓦
粘土を成形して高温で焼き上げたものが瓦です。
表面に釉薬が塗られた釉薬瓦と、薬を塗らず焼いた無釉瓦やいぶし瓦があります。
粘土でできているので重量があります。耐震性の確保の面では不利ですが、重い分だけ遮音性に優れており雨音が気になりにくいという利点があります。
瓦内部に浸透した水が凍ると膨張し瓦を壊してしまいます。吸水性の高い瓦は寒冷地では使えません。良質な粘土の使用やより高温で焼き固める ことで吸水率をかなり低く抑えることができ、かつては寒冷地ではトラブルの多かった瓦も問題なく使えるようになっています。寒冷地では吸水率の低い瓦を利 用します。
自由に成形できる瓦には和風のJ型(和型)・F形(平板)・洋風のS形などがありますので、建物の雰囲気に合わせて好みのデザインが選べます。
釉薬瓦(陶器瓦)
ガラス質の釉薬(うわぐすり・ゆうやく)のおかげで水の浸透がないため凍害に強く、またほとんど劣化しません。
退色・変色がほぼ無いか かなり少なく汚れも付きにくいので、長期にわたり美観が保てるのと塗り直しなどのメンテナンスが必要ありません。
数百年も前の古い焼き物の茶碗が当時その ままの姿で残っており、未だに使えるのがその耐久性の高さを証明しています。
瓦自体の耐用年数は半永久的です。
無釉瓦
釉薬(うわぐすり・ゆうやく)をかけず焼いた瓦です。
素地そのまま焼き上げてあり、塗装などの表面処理が施されていません。
素焼き瓦は、スペインやフランスなどのヨーロッパのスペイン瓦・テラコッタ瓦や沖縄の赤瓦が有名です。
焼き上げる際に窯の中での位置や炎の状況による温度差などで独特の色味を出した窯変瓦があります。
耐用年数は40~50年ほどです。
いぶし瓦
いぶし瓦は、焼き上げる工程で燻して表面に炭素膜を形成させた瓦です。この炭素膜が、水を弾いて瓦を保護しています。
雨に打たれるなどで炭素膜が剥離劣化してしまいます。屋根全体が均一に色落ちせず、むらを生じることがあります。耐用年数は40~50年ほどでしょうか。
ちなみに、45年ぶりに本格修理が行われている姫路城では、屋根を全面葺き直しするものの瓦は再利用するとの事で瓦自体の寿命はもっと長いようです。
和型のいぶし瓦は和の住宅の必須アイテムです。